春か秋のことと思います。
ある晴れた夜、母に連れられて歩いて5分ほどの銭湯に行く途中、
母が空を見上げて、ある星を指して「あの星はお父ちゃんやよ」と言いました。
(家の風呂は昭和22年小学校へ入学後、薪を焚く五右衛門風呂ができました)
そのあと母が何を言ったかは覚えていませんが、おそらく「見守ってくれて
いるんよ」のような意味の事を言ったのでしょうか。
成人後、本やドラマなどで、登場人物が星を見上げて「あれはお父さんよ」とか
「あれはお母さんよ」などと言うような場面を読んだり見たりしましたが、
なんとなく陳腐な言葉のような気がして、あまり心が動きませんでした。
しかし、73才になった今、夜空にぽつんとひとつだけ星が見えるようなときは、
あの星は本当に父か父の魂かも知れないと思うようになりました。
母が言ったのは、私を慰める目的だけでなく、母自身が自分に言い聞かせて、
寂しさを打ち払う言葉だったような気がします。
その母の気持を想像すると・・・・ (母は2002年12月なくなりました)
直接関係はありませんが、人は木像や石像に魂を吹き込むように、
星にも月にも心を送り込むのでしょう。
道端の石地蔵なども、それを作り、守ってきた人々の心が宿っているので、
決してただの石ではないのですね。
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