2008年1月14日月曜日

6. 子取り婆 

(6.小学校のころ)

子供の頃、悪いことをすると母や祖母から「子取り婆がくるよー」と、おどかされました。子取り婆は大きな袋を肩にかついで子供をさらい、袋に入れて遠くに売りにいくのだと聞かされました。
まるで北朝鮮の工作員の拉致(らち)のようなものです。
森鴎外の「山椒大夫」のように昔から子供の拉致・人身売買があり、その話が田舎の町にも届いていたのかもしれません。

家の畑のある杉ヤ谷という谷の奥に大きな池がありました。
その池は「山口の池」と呼んでいたので、たぶん同じ町の農家の池だったのでしょう。
小学校の1、2年の頃のある日、弟たちとその池に遊びに行きました。
池の奥の草ぼうぼうの対岸に探検にいくと、崖に直径1メートルほどの穴がありました。その中は暗くて奥が見えなかったですが、まず弟が穴をのぞいて怖くなったのでしょう。「子取り婆が来るぞー」と言って走りだしました。私もわけもなく怖くなり弟達と谷の道を走りました。途中で石ころにつまずいて右ひざに怪我をし血が流れてきて、痛いし怖いし、泣きながら家まで帰りました。

少し大きくなってからは、「山口の池」には時々鮒釣りに行きました。ミミズの餌でフナが釣れるのですが、たまに「いもり」が掛かるのです。いもりはトカゲのような形でおなかが真っ赤です。これが釣れるとはずすのが怖く泣きそうになりました。その頃から釣りは大好きで、裏の川でも「はいじゃこ(ハエ)」をよく釣りました。

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